ノボラピッドフレックスタッチの供給停止について

 しばらく前から咳止めなどの流通が不安定になり患者さんが受け取れない等の事態が問題になっています。当院では一部院内処方として咳止めを処方することがありますが、やはりなかなか入荷しないため種類を変えるなどしてなんとか対応しています。医薬品は需要が増加しても急に増産が難しいようです。

 

 糖尿病診療において中心的な治療薬であるインスリンも供給体制の変化があります。ノボノルディスク社が製産している「ノボラピッドフレックスタッチ」というインスリン製剤が12月で供給停止になります。これだけ聞くと使用されている患者さんは不安に思われるかもしれませんが、今回の供給停止は中身のインスリンの問題ではなく外側のペン型注入器の供給が需要に追いついていないことによるものです。そこで一世代前の注入器である「ノボラピッドフレックスペン」に切り替えての供給が1月より開始となります。

「フレックスタッチ」は「フレックスペン」の改良型として太めで注入操作が軽い、目盛りが白くて見やすいなどの違いがありましたので、切り替わると当初は戸惑うかもしれませんが中身事態は同じでありご理解いただければとおもいます。診察の際には切り替わりのご説明をしておりますが、実際には各薬局での在庫状況で切り替わりのタイミングが異なります。

 

 今回中身は同じでデバイス(注入器)の切り替えですが、さらに踏み込んでお話しすると、カートリッジ状の中身だけを交換するタイプのデバイスも存在します。上記ノボ社ではノボペン6,ノボペンエコーという名称で流通しています。これらはスマートインスリンペンとも呼ばれ、注射後の時間がわかったり持続血糖測定器であるリブレとスマホアプリ上で連携するなどのデジタル機能が追加されています。デバイスの切り替えに当たりこれらが気になる方はご相談いただければと思います。

スマートインスリンペンについてはこちらのページで詳しく記載しているので参考にしてください。

 

また、デバイスとしてのフレックスタッチがよいという方(注入ボタンが柔らかいので使いやすい)は、ノボラピッドよりも若干作用が早いフィアスプという種類であれば食事の前に注射するインスリンをフレックスタッチのまま使用することができます。

こちらは製剤が異なるためよくご相談のうえで切り替えることが重要となります。

 

咳止めなどの薬が不足しているという報道が日々流れている状況でのインスリン製剤が欠品するという自体ですので不安になる方も多かったかと思います。海外の様にインスリンポンプ療法がもう少し普及するとデバイスの不足は減るのかもしれません。最近はチューブレスのインスリンポンプ(メディセーフウィズ)も使用できるようになって便利になりましたので一度体験してみてもよいかと思います。